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FX 自動売買シミュレーションでリスクを最小限に

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FX自動売買シミュレーションでリスクを最小限に

 

今回から全3本立てのシリーズでお話ししていこうと思います。

  1. リスク -ドローダウン-
  2. 勝率 -プロフィットファクター(PF)-
  3. 稼働前の検証重要性

どれも密接に結びついているものになり、

実際に収益を生み出しているEAトレーダーはこういうポイントを見ているなどを具体的にお伝えしたいと思います。

 

稼働させる前に実際に資金を投入するに値するEAなのか?

まずはそれを調べる必要があります。

バックテストすると、当然良い成績のものばかりではありません。

資金が溶けはしないものの成績がいまいちといったケースがほとんどです。

 

その際にどこを見て良し悪しを判断すべきか?

 

EA稼働させる上での注意すべき点として、裁量トレードとは異なり自身はトレードを行わないものの、

 

【EAを稼働させている】という点は懸念事項としていつも頭の片隅に存在するかと思います。

 

これは裁量トレードでの心理的な重圧感といったものとはまた別のプレッシャーの一因でしょう。


ドローダウンやプロフィットファクター

ドローダウンやプロフィットファクターといった指標を使い、自動売買の取引を分析し傾向を掴むことがトレード結果を大きく飛躍させることに繋がります。

 

今回の記事ではドローダウンについて詳しく述べていきたいと思います。

 

ドローダウンとは「売買システムのリスクを見る指標」

 

ドローダウンとは一時的に最大資産から落ち込んだ下落率、損失額を表します。

つまり口座の資金からどれくらい損失が出たかを表します。

 

また、ドローダウンについて考えるとき、以下の3つについて理解しておく必要があります。

  • 最大ドローダウン
  • 相対ドローダウン
  • ドローダウン期間

最大ドローダウン

集計期間内の累積利益のピークからの落込み幅のことをドローダウンといい、その最大値を最大ドローダウンといいます。 

つまり最大ドローダウンは「最大資産からの最も大きい下落率のこと」であり、この値が小さいほどリスクを抑えた運用が期待できるという事です。

相対ドローダウン

最大ドローダウンが金銭単位でのドローダウンであるのに対して、相対ドローダウンとは最も口座資金が増えた時点から、最も口座資金が減った比率の最大下落率です。

 

たとえば、残高が100万円だった投資額が、80万円まで減少後、90万円まで回復し、再び減って80万円になったとします。

 

1.100万円 − 80万円 = 20万円

2.90万円  − 80万円 = 10万円

 

という2つのプロセスがあります。

 

上記の例に基づき下落率の大きいドローダウンを計算してみます。

計算はドローダウン額÷ドローダウン前の金額で算出できます。

  1. 20 ÷ 100 = 0.2
  2. 10 ÷ 90  = 0.11

つまり100万円→80万円のドローダウンの方が

90万円まで回復し、再び減って80万円に減少した時に比べて下落率が大きいという事です。


ドローダウン期間

ドローダウン期間が長期にわたるほど、メンタルに与えるダメージは大きく、運用が難しくなります。

このドローダウンは、「システムトレード」をする際にとても重要になります。

たとえどんなにパフォーマンスが素晴らしく高い勝率を誇っていたとしても、長きに渡りドローダウンをくらうようであれば容易く資金を失ってしまう可能性もあります。

ドローダウンの算出方法について

最大ドローダウンは資金の最高値を更新してから最大損失を計算します。

 

ドローダウン(%)= 損失額÷資金×100

 

資金300万円の状態から、取引に負けて結果150万円まで減少したとします。

この場合のドローダウンを求めると、上記の計算式に当てはめて、150万円÷300万円×100=50%となります。

 

例1

100万円でスタートしたら、次に100万円を超えるまでの期間で「どれだけ資金が目減りしたか」 これがドローダウンです。

ドローダウン=50と仮定します。

※100万円→最大で50万円まで減少してしまう(この場合の損失額は50万円)

 

例2

100万円が200万円まで増加し、200万円を超えるまでの期間で「どれだけ資金が目減りしたか」 これがドローダウンです。

ドローダウン=30と仮定。

※200万円→最大140万円まで減少(この場合の損失額は60万円)

 

例えばバックテストで一定期間この流れを繰り返し、

その期間の中で一番大きいドローダウンが最大ドローダウンとして計上されます。

 

両ケースを比較し、損失額は例2の方が大きいが最大ドローダウンは50です。

これは資金の多寡に限らずトレードによって資金が最大損失がどの程度かを計る目安になります。

ドローダウンは具体的に何%が理想?

例えば、1年間で資産が数倍にも増えるシステムがあるとします。

一見とても優秀なEAに見えますが、最大ドローダウンが50%を超える場合、実際に運用するのは現実的でないでしょう。

最大ドローダウンというのは今後も更新する可能性があるものです。

あくまでも過去のデータに基づいて計算される目安でしかないため、将来を確実に予測する指標ではありません。

 

バックテストの結果最大ドローダウンが50%だった場合、

実際には2倍以上のドローダウンがあるかもしれないと用心しておくのが無難です。

 

50%の2倍は100%なので、もし最大ドローダウンが更新された場合資金が溶ける可能性があります。

 

理想を言えば最大ドローダウンは10%以下です。

最大ドローダウンが高くなるにつれリスクを伴いますし、精神的にも耐え難くなります。

これは人により異なり、最大ドローダウン50%であっても、精神的にトレードを継続することが可能である一方、20%のドローダウンが耐えられないという人もいます。

全トレーダーに共通する事ですが、多くの人は思ったよりもドローダウンに耐えることができないでしょう。

 

一般的にドローダウンの許容値は30%〜40%と言われています。

しかし資金量、環境も人により異なるので、最終的には各々が許容できる損失額に留めるべきです。

 

ストップロスの幅が大きいEAや同時保有ポジション数の多いEAは最大ドローダウンも比例して大きくなる傾向があります。

単利運用で損切のあるEAの場合、保有ポジション数×ストップロスPips×ロット数で最大ドローダウンが予測可能です。

ただし、損切をしないナンピンマーチン系のEAはフォワード期間によって最大ドローダウンも変動するので注意が必要です。

 

バックテスト以上に最大ドローダウンが広がる事は頻繁にありますので、リスク管理は余裕を持って運用することを推奨します。


「資金管理」が大切
ドローダウンを意識しよう

ここまで散々ドローダウンについて説明してきましたが、EAのバックテストに表示されるドローダウン%を見てもあまり意味がないというのが現実です。

 

なぜならこれは初期証拠金と運用ロットによって変えられるからです。

 

ドローダウンは口座資金と損失金額の割合から計算されるため、

初期資金を多くEAのロット数を小さくすると、ドローダウンが小さくなります。

 

初期証拠金と数量を実際に自分が運用する想定で適切な値にすることで、初めてドローダウンを見る意味が生まれます。

 

ドローダウンが〜%未満と誇大広告しているEAは注意した方が良いでしょう。

その際の証拠金、ロット等の情報を見てみるとよいです。

初期証拠金と数量を自分の実際に自分が運用する数量に設定してドローダウンの確認をオススメします。

 

前述の最大ドローダウンに耐え得る資金量と損切の幅を設ける事で資産運用が行えるのです。

損切りのPIPSであったり数値を変える事で収支が大きく変わってきます。

特にパラメータ等で詳細に設定を変更出来るものの場合、この数値を微調整する事で通貨ペアや時間足により最適な設定というのが分かってくるはずです。

 

これは実際にバックテストを行なってみるとよくわかる事です。

 

それを微調整し、最適な数値に設定した上でデモ口座を用いたフォワードテストを実施するという流れが理想的です。

 

このようなドローダウンに加え、さらにプロフィットファクターと行った指標を使い、

自身の取引を分析し傾向を掴むことで、トレード結果を大きく上昇させることができます。

 

今回はドローダウンと検証の重要性について述べましたが、

次回の記事ではEA選定の要になる要素の1つプロフィットファクターについてお伝えしたいと思います。

執筆者紹介

投資家

369(みろく)

投資歴9年(為替・株・商品先物) フィボナッチを活用したトレード手法に長けており、ハーモニックパターンを用いた分析を得意とする。 投資後進国の日本、健全な資産運用をしていただくためにトレードのプロとしてサポート。ナレッジの少ないハーモニックパターンを扱うトレーダーとして国内で普及させる事が目標。
投資歴9年(為替・株・商品先物) フィボナッチを活用したトレード手法に長けており、ハーモニックパターンを用いた分析を得意とする。 投資後進国の日本、健全な資産運用をしていただくためにトレードのプロとしてサポート。ナレッジの少ないハーモニックパターンを扱うトレーダーとして国内で普及させる事が目標。

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