FXの自動売買って実際に儲かるの?プロが教えるシステムトレードの理想と現実
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- 1. FX自動売買の難易度は目標のリターンによって大きく変わる
- - リスクとリターンは常に表裏一体である
- - 「絶対に儲かる投資法」はこの世に存在しない
- - まずは資金、期間、目標を具体的に設定することが大切
- 2. FX自動売買で勝てるシステムを選ぶのは実際は簡単ではない
- - 過去検証では優秀でも、実際に動かすと勝てないことも多い
- - バックテストとフォワードテストの両方を必ず確認する
- - 稼働停止のラインはあらかじめ決めておく
- 3. インデックス投資 vs FX自動売買
- - インデックス投資とは
- - パッシブ運用の利回りは年間5~10%前後
- - アクティブ運用に興味があるけど、時間がない人にEAは最適
- - インデックス投資を超えるリターンを出すことは十分に可能
MT4のEAを使った自動売買ってちょっと怪しい、本当に勝てるのかどうか気になる、そんな風に思っていませんか?
長年にわたって開発してきたプロの目線から、FX自動売買の理想と現実をありのまま解説します。
FX自動売買の難易度は目標のリターンによって大きく変わる
そもそも、儲かる投資と儲からない投資は何が違うのでしょうか? まずは投資のリスクとリターンに対する基本的な考え方を説明します。
リスクとリターンは常に表裏一体である
投資におけるリスクとは損失、リターンとは利益のことを指します。
例えば、ドル円(USD/JPY)を150円時に10万通貨ロング(買い)した場合、1円上昇すれば10万円の利益ですが、1円下落すれば10万円の損失となります。
次に、リスクを減らすために損切りを入れた場合を考えてみましょう。
例えば、建値である150円からマイナス50銭の位置に逆指値のストップロスを置くと、最大でも5万円の損失で済みますが、その後149円よりも手前で反転して上昇した際の利益も逃してしまいます。
つまり、リスクを限定するとリターンも限定されるわけです。
実際の相場ではトレンドの方向、重要な価格帯、配当やスワップポイントなど、他にも考慮すべき事柄はたくさんありますが、単純化して考えれば、株式投資やFXにおけるリスクとリターンは常に表裏一体であるといえます。
高いリターンを狙うほど、リスクもより大きくなることは覚えておきましょう。
「絶対に儲かる投資法」はこの世に存在しない
上記の事柄を前提として考えれば、リスクがなくリターンだけを得られる投資というのは存在しないことがわかります。
特に元本保証をうたう投資商品であれば、そのリターンは銀行預金のような、非常に小さなものにしかならないはずです。
もしも「確実に利益が出る投資法」が存在した場合には、どんなことが起こるでしょうか?
絶対に損をしないのであれば、世界中の人がその投資法を実践するはずなので、ものすごいスピードで世界のマネーが増えるはずです。
しかし、世の中に流通しているお金の量は基本的には一定ですし、全員が同時に儲けるというのは原理的に不可能なはずです。
仮にそのような素晴らしい投資法が本当に存在したとしても、一般の人には広まらないはずですので、「100%利益を出せる」とか「絶対に勝てる」ことをキャッチコピーにするような投資商品や自動売買システムを購入したり運用することは絶対にやめましょう。
まずは資金、期間、目標を具体的に設定することが大切
ひとくちに投資や自動売買といっても、人によって資金量も違えばゴールの金額やかけられる時間の長さも違います。
まずは自分の目標をしっかりと設定して、それに向けてどのような運用計画を立てるかを逆算するべきです。
じっくりと時間をかけて、安定したリターンを得たいのであれば、大きな損失を出さずに中長期で安定して利益を出せるEAを探したほうが良いですし、逆に短期間で大きなリターンを狙う場合には、レバレッジを生かした短期売買や複利運用を検討すべきです。
FX自動売買で勝てるシステムを選ぶのは実際は簡単ではない
市販のシステムは星の数ほどありますが、実際に勝てるEAを見極めるのはそう簡単なことではありません。
過去検証では優秀でも、実際に動かすと勝てないことも多い
自動売買がうまくいかない大きな理由の一つが、過去検証(バックテスト)と実運用の成績のズレです。
過去の相場で勝てていることは、未来の相場で利益を出すための必要条件ですが、実際にはバックテストと同じような結果を残せないEAも少なくありません。
実運用でバックテストとの成績の食い違いが生まれる大きな原因の一つが、過剰最適化(カーブフィッティング)です。
過剰最適化とは、EAのロジックやパラメーターを過去の相場に合わせすぎてしまうことで、実際の相場で機能しなくなってしまう現象です。
バックテストとフォワードテストの両方を必ず確認する
出典:FXTF MT4
過剰最適化を見抜いて、実際の相場でも利益を出せるEAを選ぶには、バックテスト(過去検証)とフォワードテスト(実運用)の両方を確認する必要があります。
バックテストは最低でも5〜10年以上、フォワードテストは6ヶ月以上あるものが望ましいです。
この期間は長いほど良いですが、大切なことはバックテストとフォワードテストの両方とも十分な期間があり、しかも同じように勝っているかどうかです。
フォワードテストの成績がバックテストと同様に推移していれば、過剰最適化の可能性が低いと判断できます。
さらに複数のEAを組み合わせる場合には、通貨ペア、時間足、ロジックの違い(順張りか逆張りか)、リスクリワードレシオ(利益と損失の比率)、最大ドローダウンの大きさ(利益に対する割合が小さいほど優秀)なども比較して選ぶと良いでしょう。
稼働停止のラインはあらかじめ決めておく
どんなに優れたEAであっても、不調期にはある程度の損失が発生します。
マイナスが続いたときに弱気になってしまい、EAのロットを落としたり稼働停止したあとで、成績が好転することはシステムトレードではよくある現象です。
このような行き当たりばったりの運用を避けるためにも、EAごとに稼働停止のラインをあらかじめ決めてから稼働開始しましょう。
許容する最大損失額は、バックテストの最大ドローダウンの金額を参考にするのが一般的です。
例えば、10万通貨で運用した際の最大ドローダウンが50万円のEAの場合、投資資金100万円に対して最大で25万円までの損失を想定するならば、5万通貨で運用して損失が25万円を超えた場合に稼働を停止する、というのがひとつの目安となります。
インデックス投資 vs FX自動売買
昨今、よく話題となるインデックス投資とFX自動売買について比較検討してみましょう。
インデックス投資とは
インデックス投資とは、投資信託などを通じてS&P500や日経平均株価のような、株価指数全体に対して投資することをいいます。
銘柄選定の手間がなく、市場全体のリターンを安定的に享受できるため、近年特に人気の投資法です。
パッシブ運用の利回りは年間5~10%前後
自分で投資先を決めて積極的に資産運用することを「アクティブ運用」、インデックス投資で市場全体の利回りを受動的に得ることを「パッシブ運用」といいます。
パッシブ運用の利回りは指数の種類によっても異なりますが、平均するとおおむね5〜10%前後となります。
ただし、年単位でマイナスになる場合もある点に注意が必要です。FXの自動売買のような、自分で戦略を決めて運用する際には、この利回りを超えることがまずは目標となります。
アクティブ運用に興味があるけど、時間がない人にEAは最適
FXの自動売買は、自分で売買戦略を決めて運用するという点ではアクティブ運用の一種ですが、一日中チャートに張り付く必要がなく、戦略もすでに検証済みのものを使うため、時間的な労力が一般的な裁量トレードに比べて少ないのが大きなメリットです。
単純な投資信託や積み立てではなく、自分で投資をしてみたい人や、インデックス投資を超えるリターンを得たいと考えている人にとっては、手軽な選択肢として自動売買はおすすめです。
FXはレバレッジを活用できるため、少ない元手からスタートできる点も大きなメリットです。
インデックス投資を超えるリターンを出すことは十分に可能
優れた自動売買ソフトを見抜くには、FXやEAのことを学んで十分な経験を積む必要がありますが、実際に年単位で大きな利益を上げているEAも少なからず存在します。
くわえて、株式とは異なり、FXの自動売買では下げ相場でも大きな利益を出せるロジックも存在するため、より安定したリターンを得られる可能性もあります。まずはインデックス投資を超える利回りを目標にして、自動売買を始めてみましょう。
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