ランキングにはご用心!? 人気のEAを使って損失を出さないために注意するべきポイント
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市販の自動売買システムは、ランキングから人気のEAを探すことができます。
しかし、人気だからといって、必ずしも利益を出せるとは限りません。この記事では、損失を出さないための上手なEAの選び方について解説します。
EAのランキングはどこから見れる?
そもそも、EAの販売サイトにはどんなものがあって、良いEAを探すにはどこを見れば良いのでしょうか。
MQL5コミュニティの場合
出典:https://www.mql5.com/ja/market/mt4
MQL5コミュニティはMetaTraderを開発しているMetaQuotes社が運営するウェブサイトで、MT4とMT5それぞれの売れ筋のEAやインジケーターが販売されています。
サイトの表記は基本的には英語ですが、日本語を含むさまざまな言語に変更可能です。
EAの価格帯は数十ドル〜1000ドル以上のものまで幅広く、買い切りの他にサブスクリプションもできる点が大きな特徴です。
ただし、公式サイトでのフォワードテスト(成績計測)はないため、販売ページをよく読んで実績のしっかりあるものを選びましょう。
ゴゴジャンの場合
出典:https://www.gogojungle.co.jp/systemtrade/sell
株式会社ゴゴジャンは日本の東京都に拠点を置く法人です。MT4やMT5のEAやインジケーターを販売しており、国内では最大級の販売サイトです。
MQL5コミュニティとは異なり、日本語でのサポートが受けられる点がメリットのひとつです。
ゴゴジャンのEAは一定期間のバックテストの提出が必須なほか、販売後の成績も販売ページに掲載されているので、実績を確認してから購入できます。
売れ筋以外にも、利益率やプロフィットファクターなどの性能からEAを比較できるのもメリットです。
人気があるEA=勝てるEAではない
みんなが使っているEAを見つけると、つい自分も使ってみたくなると思いますが、みんなが使っているEA=勝てるEAというわけではありません。
売れるEAに共通する特徴についてまとめます。
トレードと生存バイアス
生存バイアスとは、成功した結果だけを見て物事を判断してしまう人間の認知バイアスの一種です。
トレードにおいては、短期的な結果は運に左右されるため、偶然連勝して大きな利益を出すトレーダーや手法というのは常に存在します。
そのため、短期的な良い結果を出しているEAや手法でも、本当の実力であるかどうかは、慎重に判断する必要があります。
仮に勝率が50%の手法であっても、5連勝する確率は約3%あります。
世の中には数え切れないほどのトレーダーやEAが存在することを考えると、このような偶然の上振れというのは必ず発生すると考えておいたほうが良いでしょう。
短期間で連勝したEAには注目が集まりやすい
上記のような理由から、トレードやEAの性能を評価するには本来、長期間にわたって十分な取引回数が必要です。
しかし、実際には数週間から数か月前後の、ごく短期間の成績によってシステムの性能が評価されやすいという現実があります。
とりわけ、新商品や販売直後のEAは注目が集まりやすいです。
リリースしてすぐに連勝すると「このEAはすごいパフォーマンスだ」と感じた人が一気に購入してランキング上位に躍り出ることは、繰り返し見られる光景です。
勝率の高いEAは初心者に好まれる
トレードの勝率は高いほど良いと感じるかもしれません。
しかし実際は、勝率自体は利益の大きさとは関係ありません。
例えば、サイコロを投げて、1〜5が出たら3万円がもらえて、6が出たら30万円を失うゲームを考えてみましょう。
6回のうち5回は勝てるはずなので、なかなかに高勝率(約83%)ですが、あなたはこのゲームに参加したいですか?
このゲームの1回あたりの平均的な結果である期待値を計算すると、3万円✕5/6-30万円✕1/6=-2万5000円となり、このゲームを繰り返しプレイすると長期的には損になります。
このように、勝率だけではEAの性能は評価できないことがわかります。
セールや期間限定などに乗せられすぎない
EAに限らず、セールでの割引や期間限定といった要素があると、ついつい必要のないものを買ってしまうというのは、日常生活でもよくあることです。
これは古典的なマーケティング戦略ですが、割安だからといって品質の低いEAを購入してしまうと、単に購入費が無駄になるだけでなく、長期的に資産に大きなダメージを与える可能性があるため、キャンペーンなどに安易に乗せられないように注意しましょう。
多少、購入費が高かったとしても、長期的にしっかり利益を出してくれるシステムを選ぶことで、長い目で見れば効率的に資金を増やすことができます。
勝てるEAを選ぶにはどうすればいいのか
利益を出すためには、どんなEAを使えば良いのでしょうか。人気ではなく、実力に基づいてEAを探すうえで大切なポイントをまとめます。
バックテストとフォワードテストの両方を確認する
「バックテスト」とは過去検証のことを指し、EAが開発された時点までの成績をいいます。過去の相場において利益を出している手法でなければ、将来的に利益を出すことは難しいはずなので、バックテストの成績は非常に重要です。
「フォワードテスト」は運用実績のことを指し、EAが開発されたあとの実際の相場での成績をいいます。
バックテストがどんなに優秀であっても、実際に利益を上げることができなければ、本当に勝てる手法とは呼べません。
バックテストの期間は最低でも3〜5年、できれば10年以上あると安心ですが、遠い過去の相場よりも直近の相場におけるパフォーマンスのほうが重要です。
フォワードテストは最低でも6か月以上、できれば1年以上あると安心です。
バックテストとフォワードテストの両方で同じように勝てていれば、過去検証どおりにEAが利益を上げていることを意味するので、今後も利益を出せる可能性が高いと判断できます。
バックテストとフォワードテストのどちらか片方しか勝てていなかったり、計測期間が十分でないものは信頼性が低いため、購入を控えた方が無難です。
出典:ゴゴジャン
例えば、ゴゴジャンでは販売ページに必ず上のようなフォワードテストが掲載されているので、参考にしてみてください。
利益と損失のバランスに注目する
トレード手法やEAにおける平均利益と平均損失のバランスのことを「リスクリワードレシオ」といいます。
FXでは一般的に損小利大が好ましいと言われています。損小利大とは損失額が小さく、利益額が大きいことを指します。
一度の損切りで大きく資産を失うことがないため、短期間での大きな損失を避けられます。
必ずしも損小利大のEAだけを運用する必要はありませんが、利益と損失のバランスが極端なものは短期での成績にブレが激しく、安定的な運用に適さないと考えられます。
より具体的には、平均利益に対して平均損失が3倍以上あるものには注意が必要です。
「リアル口座 EA稼働率」を見てみる
ゴゴジャンには「リアル口座 EA稼働率」というグラフがあります。直近1ヶ月間において実際にそれぞれのEAが運用されている割合を見ることができます。
稼働率が高いEAほど、実際の相場で優れた成績を収めており、ユーザーが稼働を継続していることを意味するため、販売数が少なくランキングに埋もれている優れたEAを見つけることが可能です。
出典:ゴゴジャン「リアル口座 EA稼働率」
上の表が「リアル口座 EA稼働率」です。縦軸が稼働率、横軸がフォワードテスト期間、円の大きさは利用者数を表します。
利用者数と稼働率は必ずしも比例していないことが分かります。
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