ポートフォリオの重要性
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「ポートフォリオを組む」というと、一般的には株式投資において個別銘柄を選定し、銘柄に合わせて資産構成割合を調整していくことを言います。
しかし、自動売買においての「ポートフォリオ」は上記とは若干意味合いが異なり、個別銘柄ではなくEAで構成する資産割合をまとめたもののことを指す場合がほとんどです。
「ロジックでポートフォリオを組む」などといった表現方法も、昨今FX界隈ではよく使われるようになりました。
さて、意味合いは違っても株式投資も自動売買もポートフォリオを組む目的は共通しています。
その目的とは、「リスクの分散」です。
単純に複数のEAを稼働させているだけの状態では、「ポートフォリオを組んでいる」とは言えません。
ポートフォリオを組めているか否かを判別する鍵は、リスクの分散を正しく図れているかどうかです。
例えば、リスクの高いEAとリスクの低いEAを組み合わせたり、売買の方向性が異なるEAを組み合わせたりすることも、
総じて「ポートフォリオを組んでいる」と言えるでしょう。
つまりポートフォリオを組むということは、自身がEAにより運用している資金を可視化しまとめることでリスクを分散させ、安定した資産運用を目指すことであると言い換えられるのです。
アセットアロケーションとは
ポートフォリオの重要性を説く前に、アセットアロケーションについても説明しておきましょう。
「ポートフォリオ」は資産構成の大きく言うと選定・可視化を指しますが、
その上位階層に位置する資産配分を「アセットアロケーション」と言います。
自身が「外国株」、「日本株」、「債券」、「FX」を資産として所有している場合、
その配分をまとめたものが「アセットアロケーション」。
アセットアロケーション内にある各資産の内訳となる資産構成が「ポートフォリオ」です。
ポートフォリオの基本運用方法
自動売買でポートフォリオを組む場合、まずは複数のEAで運用する資産を100%とした場合の資産構成割合を決めていく必要があります。
AロジックのEAには25%、BロジックのEAには20%と資産構成を振り分けておくことで、
仮にそのうちのロジックひとつが不調となっても、他のロジックで全体の運用成績をカバーできれば運用資産の安定化に繋がるというわけです。
ざっくりした流れとしては、以下の通りです。
(1)自身の所有するEAのバックテストを行う
※必須ではありませんが個人的には強くお勧めしたいです。
(2)バックテストの結果と運用資金の構成割合をまとめる
※紙でもExcelでも、自身が把握しやすい方法でOKです。
(3)Webサービスに登録して都度最新の状況を観られる環境を構築する
ポートフォリオの管理方法については自身のやりやすい方法で構いませんが、
大きく分けると主導でやりたい人はExcel、自動ならWebサービスという2パターンのうちいずれかで管理している方が多い印象です。
ただ、私個人が手順として推奨したいのはバックテスト→Excel→Webサービスの流れです。
特に、事前のバックテストは結果を大きく左右することにつながるため、ポートフォリオをまとめる前に必ず挟んでいただきたい工程です。
以下では簡単な組み方の流れを説明します。
ポートフォリオの組み方例
自身の所有するEAのバックテストを行う
MT4に備わっているストラテジーテスターという機能を使用して、運用している各EAのバックテストを行います。
バックテストの結果と運用資金の構成割合をまとめる
紙に書いてまとめる方もいらっしゃいますが、個人的にはExcelなどの表計算ソフトを使用してまとめる方法を推奨しています。
項目としては主に相対ドローダウンと最大ドローダウンを確認します。
これについては詳しくお話しすると非常に長くなってしまうため、別途他の記事でより詳細に解説したいと思います。
ちなみに、ここでまとめた情報を次の項目で解説するWebサービスなどに入力し再度まとめなおすことで最新情報が自動で反映される形になりますが、
Webサービスを使用することに抵抗がある方や、あえて手動で更新していきたい人はここまでの手順でも問題ありません。
Webサービスを使ってまとめる
Excelでまとめた情報をWebサービスにまとめます。
自動売買のポートフォリオを組む場合は「myfxbook」というサイトで無料で管理することができます。
登録することで、稼働しているEAを登録してリアルタイムに収益状況を確認する事ができるようになります。
「myfxbook」は、もともと自身のポートフォリオを公開する目的で作られているサイトですが、公開に抵抗がある場合は任意で非公開にすることも可能です。
メリットとしては、わかりやすいUI、入力するだけで可視化できること、今運用している結果が自動でリアルタイムで反映されることなどが挙げられます。
デメリットは特に感じたことはありませんが、強いて言えばサイトが若干重い時がある、オンライン環境でしか見られない、設定が若干複雑、といったところでしょうか。
実例
私もポートフォリオ管理にmyfxbookを使っています。
上の画像は私自身が組んだポートフォリオの運用成績を表した画面を撮ったものです。
EAでポートフォリオを組むと、画像からもわかるようにマイナスになるEAも存在していることが一目でわかります。
冒頭でお話しした通り、ポートフォリオを組む目的は「リスクの分散」です。
ポートフォリオを組むと複数の売買パターンでトレードを行うことになるため、EAを分散させることとなり必然的にリスクは抑えられます。
しかし、「リスクが抑えられる」ということは同時に収益の抑制もセットとなります。
具体的に言うと、EAの稼働数が多ければ多いほど資産構成が広がるわけです。それはつまり、爆発的な利益は狙えない代わりに爆発的に損する事も無くなっていくことを意味します。
つまり、ポートフォリオを組みリスクを可視化・分散させることで全体の収益率を安定してプラスにする=「リスクを抑える」ことに繋がるというわけです。
まとめ
投資の世界やトレードの世界の原則はノーリスク・ノーリターン、またはハイリスク・ハイリターン。
だからこそ、ノーリスクとハイリスクの間をどこまで許容するかをポートフォリオで調整することが必要です。
自動売買のポートフォリオを組むのであれば、ポートフォリオへ組みこむEAのロジックや特性、
リスク要素などをある程度理解しておく必要があることもご理解いただけたのではないでしょうか。
リスクをコントロールし、安定した運用を行ううえでポートフォリオは必須。
ポートフォリオの重要性は、リスクマネジメントの重要性とも言い換えられるのです。
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