事前準備で多くを回避可能、FX自動売買の危険性について
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- 1. FXの自動売買は決して危険ではない
- - EAはトレードの手順をプログラム化しただけのもの
- - 詐欺師に利用されやすいから誤解されやすい
- 2. 自動売買(EA)における危険を整理する
- - タイプA そもそも勝てないEAである
- - タイプB ちゃんとしたEAでもリスクはある
- 3. 勝てないEAを見分けるには(タイプA)
- - バックテストをしてここを見る
- - ナンピンマーチン型は避ける
- - 無料で配布されており海外FXへ誘導されるものは避ける
- - 実績や信頼性のある販売サイトで買う
- 4. どんなEAにもあるリスクを理解する(タイプB)
- - 一時的なドローダウンは必ず発生する
- - ロジックが相場と合わずに使えなくなる日はいつか来る
FXの自動売買は決して危険ではない
FXの自動売買、と耳にした時に「危険なものではないか?」という印象を抱く方は少なくありません。
しかしFXの自動売買のほとんどの危険は、事前準備などで回避可能です。
金融商品の取引であり、損失発生のリスクはありますが、リスクは利益と損失が表裏一体です。
どのような金融商品の投資でもリスクは避けられないため、リスクと危険は分けて考える必要があります。
EAはトレードの手順をプログラム化しただけのもの
自動売買では、コンピューターが事前に設定されたルールに基づいて取引を行います。
MT4(Meta Trader4)では、トレードの手順をプログラム化したEA(Expert Advisor)を利用して自動売買が行われます。
EAは売買ルールにより、投資パフォーマンスが大きく異なります。
しかしEAは単に売買ルールをプログラム化したものです。
利益が出ないEAもありますが、それは売買ルールの問題であり、EAの利用それ自体に危険はありません。
実際にEAによる取引で利益を上げている投資家も多く存在します。
詐欺師に利用されやすいから誤解されやすい
残念ながらEAは詐欺に利用されることがあります。
ネット上などで知り合った人や業者から高いパフォーマンスと称するEAを購入し、
海外FX会社や架空の業者の口座開設及び入金を求められ、取引画面上では利益が出ているものの実際は業者が数字を操作しているだけで、その後出金をしようとしても出金できずに気付いた時は詐欺にあっていた。
このような詐欺が近年多発しており、国民生活センターなどにも相談が寄せられたり、財務省から注意喚起が出ています。
出典:国民生活センター 「何もしなくてももうかる」とFX自動売買システムの購入を勧められた
出典:国民生活センター 儲かってるのに出金できない!?海外FX取引をめぐるトラブルにご注意-自動売買ソフト等を購入させ、海外FX取引に誘う手口-
出典:北海道財務局 自動売買ソフトの販売・レンタル業者にご注意!
EA自体に罪はないものの、結果としてEAが詐欺の道具として使われています。このため、「EA=詐欺に使われる」という悪いイメージが一部にあり、「自動売買=危険」という印象を与えている面が否定できません。
自動売買(EA)における危険を整理する
危険に対し正しく恐れることで、危険への対応策が生まれ、また回避できない危険が見つかることもあります。
EAを用いた自動売買の危険性については、以下の2タイプに分類できます。
・タイプA 利益を出そうとしないEAの存在
・タイプB ちゃんとしたEAでもリスクはある
タイプA そもそも勝てないEAである
詐欺で利用されるEAをはじめ、そもそも勝つことを目的としていないEAが存在します。
海外FX会社で利用されるEAの中には、利益に関係なく、単純に取引を繰り返すことを目的とするEAもあります。
(取引回数が増えるとFX会社などが利益を上げられる仕組み)
その他、開発者が単に思い付きや趣味で開発したとしか思えないEAもあります。
これらのEAは、勝つことを目的としていないため勝てません。ただしこれらのEAは、事前準備で簡単に見抜けます。
タイプB ちゃんとしたEAでもリスクはある
一方、既に利益が出ているEAにもリスクはあります。
どのようなEAにも、得意相場と不得意相場があります。
例えば、トレンドが発生している時にレンジ相場を得意とするEAは成績が落ちる一方、レンジ相場の際はトレンド相場に強いロジックのEAは成績が落ちざるを得ません。
長期的な運用でトータルで稼げるEAだとしても、
相場の状況によっては一時的に損失が出てしまうことがあるのが一般的です。
(ずっと利益が出ているEAはむしろ不自然なロジックで一度の負けで利益を吹き飛ばしてしまう恐れがあります)
このようなことを分かっていないと、運用した直後に連敗したEAを「使えない」と一蹴してしまい次のEAを稼働させ、
さらにそのEAが連敗すると再び止め、ありもしない「不敗のEA」を探し求めることになってしまいます。
裁量取引における聖杯探し(絶対に稼げる手法)と同じ状態です。
FXの自動売買を行う際には、ちゃんとしたEAでも一時的な損失リスクがあるということを理解しましょう。
勝てないEAを見分けるには(タイプA)
タイプAの詐欺的なEAを見分ける方法を解説します。
タイプAは、最低限の準備を行えば、ほとんどの危険は回避可能です。
バックテストをしてここを見る
MT4は、EAを過去の相場の動きに基づいてシミュレーションするバックテスト機能を搭載しています。
自身の手で実際にバックテストを行えば、EAの過去相場での成績が明らかになります。
どのようなEAでも、短期的には利益が出ることはあります。
しかし長期になると、各EAの能力差が如実に表れます。
5〜10年ほどの期間でバックテストを行い、結果として現れる損益曲線を見てみましょう。
タイプAのEAは、取引するほどに損失が膨らむ下落トレンドの損益曲線が現れることがほとんどです。
提示されたバックテストの損益曲線がきれいな右肩上がりだったEAで、実際にバックテストを行ってみたところひどい結果を示すケースはいくらでもあります。
そのようなEAは過剰最適化されていたり、そもそも嘘のデータであることが考えられます。
実際にEAを利用する際は、事前のバックテストによる損益曲線の確認が必要不可欠です。タイプAのEAは、時間軸を変える、通貨ペアを変えるなどしても利益が出ないので回避しましょう。
・少しずつ資金を減らして、さらに負ける時に大きくに負ける、勝てないEAのバックテストの損益曲線(期間5年)
ナンピンマーチン型は避ける
保有するポジションに対し相場が逆行した時に、さらにポジションを積み増して平均購入単価を下げる手法として、
ナンピン(平均買い下げ)やマーチンゲール(投資金額の倍増による買い下げ)と呼ばれる手法があります。
ナンピン型やマーチン型のEAはレンジ相場では比較的順調に資金が増えます。
しかしポジションとは逆の方向にトレンドが生じると、投資資金を一気に失うリスクが否定できません。
レンジ相場が多い為替市場では、ナンピン型やマーチン型のEAは明確に反転するまでは資金が着実に増えます。
しかし、ひとたび相場が逆行すれば投資資金を一気に失うことが多いです。
いわゆるコツコツドカンで資金を失う結果を招くため、ナンピンマーチン型のEAを利用したいなら、稼働のオン・オフのタイミングがわかる上級者になってからにしましょう。
途中までは順調に利益が積み上がるナンピンマーチン型の詐欺的なEAもあるため
(最終的に大きな損失で終わることがほとんどです)、ナンピンマーチン型のEAの利用は回避が賢明です。
無料で配布されており海外FXへ誘導されるものは避ける
EAの中には、利用が海外FX会社に限定されているものもあります。
しかし海外FX会社は、日本法人を設立して金融庁の認可を受けている事業者を除き、出金ができないトラブルなどに巻き込まれるリスクがあります。
無料でEAを配布する代わりに、海外FX会社での利用が指定されるEA配布サイトなどもあります。
しかし無料のEAや、海外FX会社の利用を前提とするEAの利用は危険を伴うため、知識がない人は避けるべきです。
実績や信頼性のある販売サイトで買う
EAは基本的に販売サイトでお金を出して買うものです。
中には海外サイトなどで、高いパフォーマンスを標榜するEAの販売が行われています。
しかし実際に自らバックテストや利用しないと、その数字の正確性は検証できません。
インターネット上には、国内外に様々なEAの販売サイトがあります。
高いパフォーマンスのEAに興味を抱くのはやむを得ないものの、EAを購入する際は実績ある信頼性のある販売サイトで購入しましょう。
有名なEA販売サイト
・ゴゴジャン(https://www.gogojungle.co.jp/)
・テラス(https://openterrace.jp/)
どんなEAにもあるリスクを理解する(タイプB)
実績ある販売サイトで購入したEAや現在利益を出しているEAでも、永遠に利益を上げられるわけではありません。
投資はリスクを伴います。タイプBのEAのリスクについて解説します。
一時的なドローダウンは必ず発生する
為替市場に限らず相場は変幻自在です。
そんな先の読めない相場に対し、EAは事前に決められた独自のルールに基づいて売買を行います。
よってイレギュラーな値動きが発生すると、EAの売買ルールでは対応できず、大きな損失を計上するリスクがEAにはあります。
特に大型の指標発表前後は、為替市場はイレギュラーな値動きが生じることが多く、ほとんどのEAが値動きに追随できません。
またトレンドフォロータイプで押し目や戻しを狙うEAの場合、トレンド転換時に高い確率で損失が発生します。
戻りや押し目で相場が止まらずに逆行が進むと、深い損切りにより一度の損失で大きなドローダウンとならざるを得ません。
どのようなEAでも、一時的なドローダウンが必ず発生します。
現在利益が出ているEAであっても、ドローダウン発生の可能性を踏まえた上で利用しましょう。
ロジックが相場と合わずに使えなくなる日はいつか来る
相場はトレンド相場とレンジ相場、スクイーズ(縮小相場)とイクスパンション(拡大相場)などに種類分けができます。
EAには得意相場と不得意相場があります。レンジ相場を得意とするEAが、トレンド相場に入ると突如として調子を崩すことは珍しくありません。
どんなに値段が高く過去に継続的に利益を上げていたEAでも、
賞味期限が過ぎて使えなくなる=利益が上がらなくなる日はやって来ます。
ただし相場付きが変化して使えなくなったEAは、以後は一切勝てない訳ではありません。
再び得意とする相場状況が到来すれば、再活躍は可能です。EAには得意な相場、不得意な相場があります。
不得意相場に入り調子を落としたEAは、得意相場が来るまで待機させ、次の出番に備えましょう。
相場は変化するため、永遠に利益を上げられるEAはありません。
自動売買で継続的に利益を上げるには、EAの相場状況に応じた入れ替えや、性格の異なる複数のEA活用による運用が必要といえるでしょう。
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