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自動売買におけるポートフォリオの運用方法 Q&A編

公開日:

これまで3回にわたり、FX自動売買におけるポートフォリオの組み方とその手順について解説してきました。

 

「自動売買におけるポートフォリオの組み方 バックテスト編」はこちら

「自動売買におけるポートフォリオの組み方 Excel編」はこちら

「自動売買におけるポートフォリオの組み方 Webサービス編」はこちら

 

しかし、ポートフォリオは作って終わりではありません。

Webサービスで自身のポートフォリオを管理できるようになったのち実際に使い始めてみると、より細かな疑問が湧いてくるものです。

 

今回はWebサービスを利用してポートフォリオの全体管理を行なっている方からよく聞かれる質問を、いくつかピックアップしてみました。

 

せっかく組んだポートフォリオを「組んで終わり」にしないために、使いこなしてご自身の資産運用をより良いものにする手助けになれれば幸いです。

ポートフォリオを開いたらどこをチェックするべき?

基本と言えば基本なのですが、これが実はいちばん多く聞かれる質問かもしれません。

 

自身の資産状況やEAの状態がひとめでわかったとしても、それを踏まえて自分がどうするべきかが分からないと、なかなかポートフォリオを使いこなすのは難しいですよね。

 

さて、答えからお話しすると、ポートフォリオを開いてまず最初に確認するべきチェックポイントとして私がお勧めしたい項目は収益率です。

収益率は、myfxbookを日本語訳表示にした際に「増加」と表示される項目から確認できます。

 

 

なぜ収益率を確認することが重要かを説明するにあたり、「リバランス」という考え方に触れる必要があります。

 

「リバランス」とは、資金の合計を常に100%と考え、各EAの資金構成がトレードによって変動した際に改めて構成を検討・調整し保全していく考え方です。

 

以下で具体例を挙げて説明していきましょう。

 

(例)

運用資金100万円の場合に、

 

「A」というEAに50万円(50%)

「B」というEAに50万円(50%)

合計:100万円

 

ポートフォリオを組んだ当初、上記のように構成率を決めて割り振ったとします。

 

この時点では各EAに対して50%ずつの割り振りを行なっていますが、しばらく運用を続けていくうちに資産が増減すると、

 

「A」というEAの50万円 → 60万円

「B」というEAの50万円 → 45万円

合計:105万円

 

といったように、資産合計も変化していきます。

 

ある一定の運用期間を経て変化した合計額を【当初定めた構成比率に準じたうえで】合計100%になるよう再度割り当てていく、この対応が「リバランス」というわけです。

 

リバランスにおいては、このカッコで括った部分が特に重要です。

 

例えば上記の資産合計が変化した形は、このままでも

 

「A」というEAの50万円 → 60万円(57.1%)

「B」というEAの50万円 → 45万円(42.9%)

※0.01以下端数切捨

合計:105万円

 

といったように、金額や構成比の内訳が変わっただけで、資産構成の合計が100%になること自体は変わりません。

 

しかしこれでは、ポートフォリオを組んだ当初に決めた資産構成と比率が変わってしまいます。

 

そこで、現在の資産合計額である105万円を再度50%ずつになるよう、以下の形に振り分け直します。

 

「A」というEA → 52.5万円(50%)

「B」というEA → 52.5万円(50%)

合計:105万円

 

リバランスを定期的に行うことのメリットは、当初決めた資産構成比を崩さないことでよりリスクを抑えた運用を可能にすることと、当初自身が定めた目的に合わせた運用を継続できる点にあります。

 

ポートフォリオを組むメリットはさまざまですが、単一のEAが不調になった際も他のEAで全体の運用成績をカバーすることにより、運用資産の安定化に繋がるということが代表的なメリットとして挙げられます。

 

つまり、各EAの好不調を把握するためにも、ポートフォリオを組んだ後も定期的に収益結果を確認し、自身が定めた目的・比率での運用を継続できているかをチェック、もしできていない場合には再度検討と調整を行う。

 

私はこの繰り返しこそが、より良い運用を実現する秘訣であると考えています。

 

今回は収益結果とリバランスを代表的なポイントとして紹介しましたが、自身が重視したいことや運用スタイルを明確に持つことで、ポートフォリオの確認すべき点は増えたり変化したりします。

 

ポートフォリオは単なる確認を行うだけでもとても便利に使えますが、さらに使いこなしたいと考えるのであれば、自身の目的や目標を見据えて使用することをお勧めしたいです。

 

そうすれば、自ずと確認すべきポイントもはっきり見えてくるのではないでしょうか。

ポートフォリオからEAを外したい

これもよく聞かれる質問です。実際に運用を続けていると、EAを使わなくなったり入れ替えを検討したりする場面も出てきます。

 

ポートフォリオを組んだ当初確認していたバックテストの結果から想定していた以上の大きな乖離が発生した場合などは、EAの削除を検討するタイミングかもしれません。

 

例えば、

「10年間、年間ベースでは負けていないEAだったのに今年は負けてしまった」

「バックテストレポートの時に確認した最大連敗回数を更新してしまった」など。

 

こんな時に、私はEAの削除や変更を考えます。

 

相場は常に環境を変えつつ動いているので、上記のような現象が発生すること自体は必然ですし、新しい相場環境が生まれているとも言い換えられます。

 

EAの削除手順は以下の通りです。

 

(1)myfxbookにログイン後、ページ右上のアイコンをクリックし、プルダウンメニューから「設定」を選択。

 

 

(2)次に、削除したいEAが登録されているポートフォリオを選択して、登録中のEA一覧を表示させます。

 

 

(3)削除したいEAの右端に表示されているオレンジ色の「編集」ボタンをクリック。

 

 

(4)画面左下のテキストリンク「アカウントの削除」をクリック。

 

 

(5)確認用のポップアップ画面が表示されるので、myfxbookのパスワードを入力し、OKボタンをクリック。以上で削除完了です。

 

 

ポートフォリオからEAを取り外すと、その分資金が余ることになるため、その資金を既存のEAに割り当てるか、全体の運用資金を下げるのかを検討し直す必要があります。

 

いずれの方向性を取るのかを決めたら、前述したリバランス処理を行い、資金の合計比が100%になるよう再度調整してください。

ポートフォリオに新しいEAを追加したい

追加の手順自体は前回記事(自動売買におけるポートフォリオの組み方 Webサービス編)をご参照いただくとして、

新しいEAをポートフォリオへ追加する場合は、運用資金を増額するのか、現状の資金内で再度割り振りし直すのかを検討する必要があります。

「自動売買におけるポートフォリオの組み方 Webサービス編」はこちら

 

資金を増額するのであれば増額分を新規EA割り当て分として入金するだけでいいのですが、増額が難しい場合は既存EAの運用資金を減少させ、新しいEA分の資金として割り当てなくてはなりません。

 

後者を行う場合、その比率は前回記事で解説したように「相対ドローダウン」を参照して割り当てることを推奨していますが、新しいEAの場合、そのロジックをしっかりと理解できていなかったりプログラムの不具合が発生したりといった可能性もあるので、資金割合は慎重に決めていきたいものです。

収益が出たので一部出金したい

口座から出金する場合にも、リバランス処理を推奨しています。

 

例えばポートフォリオを組んだ当初の割り当てが、

 

「A」というEA →25万円(25%)

「B」というEA →25万円(25%)

「C」というEA →25万円(25%)

「D」というEA →25万円(25%)

合計:100万円

 

その後、一定期間トレードした結果、以下のような形に変動したとします。

 

「A」というEA →27万円

「B」というEA →24万円

「C」というEA →26万円

「D」というEA →24万円

合計:101万円

 

合計101万円になったので1万円を出金したい。

 

この場合、以下のような形で入出金すれば、効率よくリバランスを行いつつ出金することができます。

 

「A」というEA →27万円 ※2万円出金

「B」というEA →24万円 ※1万円入金

「C」というEA →26万円 ※1万円出金

「D」というEA →24万円 ※1万円入金

 

合計:100万円に戻る

 

元の資金構成から不足しているEAに対して資金を入金、増加しているEAから銀行口座に出金することでリバランスが成立し、かつ1万円を出金したことになります。

 

単純に出金するだけでなく、そのタイミングでリバランス処理も行うことで、運用の確認とポートフォリオのメンテナンスを同時に行える方法です。

執筆者紹介

トレーダー

FIRE TRADER® コウスケ

世界トレードコンテストWTC (ロビンスカップ)2022第1位/2019第2位/2017-2018第3位
世界トレードコンテストWTC (ロビンスカップ)2022第1位/2019第2位/2017-2018第3位

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