EAとは何か?FXの自動売買ツールについて基本から解説
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- 1. EAとはFXの自動売買ツールのこと
- - EAはMetaTraderで動作するプログラム
- - 初心者でも手軽に利用しやすい
- - 自分でパラメーターを調整できる
- 2. EAを利用するメリット(利点)
- - チャートを長時間見る必要がない
- - 感情を交えずに淡々とトレードできる
- - 過去検証を大幅に効率化できる
- - 自分で売買戦略を考えなくて良い
- 3. EAを利用するデメリット(欠点)
- - ある程度のPCスキルが求められる
- - 良いEAを見極める必要がある
- - 突発的なニュースや値動きには弱い傾向
- - EAの購入やVPSの稼働にはコストがかかる
- 4. EAを自作する方法
- - MetaTraderを使えば誰でもEAを作成できる
- - サンプルコードの基本構造(MT4)
EAとは一体どんなものでしょうか?
基本的な仕組みと、裁量トレードと比較した長所と短所、そして作り方についても簡単に紹介します。
EAとはFXの自動売買ツールのこと
EAを使うと、何ができるのでしょうか?
システムトレードとEAの違いについても説明します。
EAはMetaTraderで動作するプログラム
EAとは「Expert Advisor」の略で、FXの売買を自動的に行うプログラムの一種です。
EAはMetaTraderと呼ばれる無料で利用できるソフトウェア上で動作するため、自分でゼロから環境を構築する必要がなく、コンピューターに詳しくない人でも比較的スムーズに導入して利用できる点が大きなメリットです。
「移動平均線のゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売り」といった単純なアルゴリズムから、複数のインジケーターやニュースを組み合わせた高度なものまで、その内容はEAによって大きく異なり、多岐にわたります。
プログラミングができない人でも、他人が作ったEAを購入して利用することで、すぐにシステムトレードが始められます。
EAはMetaTraderに対応する証券会社であればどこでも利用できて、通貨ペアや時間足の制限もありません。順張りと逆張り、スキャルピングからスイングまで、どのような戦略のEAを運用するのかは自分次第で決めることができます。
初心者でも手軽に利用しやすい
一定のルールやアルゴリズムにのっとって取引するという意味では、MetaTraderのEAはシステムトレードの一種であるといえます。
しかし、その他のシステムトレードは専門的な知識が必要であったり、利用するのに料金がかかるものが多いです。
無料で簡単にスタートできるEAは、特に初心者にとっては優しい仕組みです。
EAを自作するには最低限のプログラミングの知識が必要ですが、Pythonなどを利用したゼロからの開発と比較すれば労力は少なく済みます。
ウェブ上にEAの作り方やサンプルコードなども多数公開されているので、学習の難易度は他のプログラミング言語と比較すればそこまで高くないといえます。
自分でパラメーターを調整できる
開発者によっては、EAのパラメーターを公開している場合があり、利用者が自由に設定を変更できます。
例えば移動平均線のゴールデンクロス手法の場合、短期と長期の移動平均線の数値を自由に設定できるものであれば、利用する通貨ペアや時間足によって最適な設定を探すことができます。
EAを利用するメリット(利点)
FXの自動売買にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
裁量トレードと比較した長所について説明します。
チャートを長時間見る必要がない
裁量トレードの場合、とりわけスキャルピングやデイトレードのような短期売買では、毎日長時間チャートを監視してエントリーのチャンスを待つ必要があります。
出来高が大きくなるロンドン~NY時間は、日本時間の夜から深夜の時間帯となるため、日中仕事をしながら短期売買をするのは現実的ではありません。
EAを利用したシステムトレードでは、MetaTraderを稼働させておけば24時間チャートを監視してくれて、条件が整ったら自動的にエントリーしてくれるため、寝ている間も取引のチャンスを逃しません。
一度EAを動かし始めれば、メンテナンスはごく短時間で済むので、兼業トレーダーにとっては心強い味方です。
感情を交えずに淡々とトレードできる
エントリーや決済のルールを事前に決めておいても、実際に自分でトレードをすると感情に左右されて、ルールにないエントリーをしてしまったり、損切りできずに大きな含み損を抱えてしまった経験は誰にでもあるはずです。
EAは人間ではなくプログラムなので、事前に設定された取引ルールやロット数に応じて淡々とトレードを繰り返してくれます。
つい感情的になってしまい無理なトレードをしてしまう人や、ギャンブルトレードに走ってしまう人は、EAにトレードを任せることで成績の向上が期待できるかもしれません。
過去検証を大幅に効率化できる
「トレードで勝つためには過去検証が大切だ」
一度は耳にしたことのあるフレーズではないでしょうか。自分の考えた手法や売買戦略が本当に勝てるのかどうかは、過去のチャートを検証することでしか確認できません。
しかし、実際に手作業で過去チャートを検証するには膨大な労力が必要です。
1トレードあたり1分間と考えても、100トレードの検証には2時間弱かかります。
ほんの少しでもパラメーターを変更すれば、また最初からやり直しです。忙しい人にとって、この手間は無視できません。
自分で売買戦略を考えなくて良い
すでに述べたように、EAは自作する以外にも、他人が開発したものをそのまま使うという選択肢があります。
自分で売買戦略をプログラミングして検証するのは、初中級者にとって簡単なことではありません。
しかし、既存のEAを導入するのであれば、基本的な操作さえわかっていれば比較的簡単に行えます。
EAを利用するデメリット(欠点)
FXの自動売買にはデメリットも存在します。
実際にEAを運用される場合は、次に挙げるポイントに注意しましょう。
ある程度のPCスキルが求められる
EAの運用に高度なコンピューターやプログラミングのスキルは必要ありませんが、普段からパソコンを操作していない人にとっては、設置やメンテナンスに苦労する可能性があります。
ウェブ上からソフトをダウンロードしてインストールしたり、ファイルをコピーして貼り付けたりといった基本的な操作がわからない人にとっては、MetaTraderの利用は難しいかもしれません。
良いEAを見極める必要がある
市販されているEAには様々なタイプがありますが、そのすべてが実運用で利益を出せるとは限りません。
バックテスト(過去検証)とフォワードテスト(実運用)の両方の期間が十分長く、しっかりと勝てていることを確認した上で運用をスタートしましょう。
突発的なニュースや値動きには弱い傾向
多くのEAはテクニカル分析に基づいて淡々と売買を繰り返すため、ファンダメンタルズに由来する相場の急変には弱い傾向があります。
特に逆張りやスキャルピングなどで小さい値幅を狙う手法にとっては、過度なボラティリティは不利になりやすいです。
EAの購入やVPSの稼働にはコストがかかる
市販のEAを購入する場合は、初期コストがかかる点にも注意が必要です。
新しいEAの購入は慎重に検討しましょう。VPSと呼ばれる仮想デスクトップ上でMetaTraderを動かす場合は、VPSのランニングコストもかかります。
月数千円程度ですが、年間では数万円となるため、少額での運用時は注意が必要です。
EAを自作する方法
自分でEAを作るには、どうすれば良いのでしょうか?
プログラム作成の流れとサンプルコードの解説をしていきます。
MetaTraderを使えば誰でもEAを作成できる
MetaTraderを使ってEAを作成・編集する手順について説明します。
今回はMT4(MetaTrader4)でのやり方をご紹介します。
まずはMT4を開いて、「表示」から「ストラテジーテスター」を開きます。
右側にある「エキスパート編集」を押してメタエディターと呼ばれるEAの編集ツールを開きましょう。
下記のようなエディタが表示されます。
ここからEAを作成したり、編集することができます。
新しくEAを作りたいときは、「ファイル」から「新規作成」を選んで、「エキスパートアドバイザー」を選択して名前を入力しましょう。
新しくエディタ上に空のファイルが作成されます。
サンプルコードの基本構造(MT4)
メタエディターのサンプルコードの基本的な構造を説明します。
今回は移動平均線と価格のクロスで売買する「Moving Average.mq4」の内容を取り上げます。
MT4ではMQL4と呼ばれる言語を使用しており、大きく次のパートに分かれています。
- コピーライトとユーザー設定(1~16行目)
- 保有ポジション数の確認(17~36行目)
- ロット計算(37~69行目)
- エントリー条件(70行目~94行目)
- 決済の条件(95行目~131行目)
- 実行処理(132行目以降)
詳しい説明は割愛しますが、onTick()関数の中の処理をティック(価格)が動くごとに行い、売買の条件を確認しています。
ポジションを保有していなければエントリーの条件を確認し、ポジションを保有していれば決済の条件を確認します。
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