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AMSER開発者林貴晴氏が教える|第10話:FXの取引コスト

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FX市場での取引は、多くのトレーダーにとって魅力的な投資手法の一つです。

しかし、取引コストは見過ごされがちであり、これがトレードの収益性に大きな影響を与えることがあります。

この記事では、FXにおける主要な取引コストであるスプレッドと手数料、見えない取引コストであるスリッページ、スワップポイントについて詳しく解説し、その対策についても考察します。

スプレッド

スプレッドとは、通貨ペアの買値(ビッド)と売値(アスク)の差のことです。

スプレッドはブローカーの収益源の一つであり、トレーダーにとっては取引コストとなります。特に、短期取引や高頻度取引ではスプレッドの影響が大きくなります。

 

スプレッドはFX業者、通貨ペアや口座タイプによって異なります。取引コストを抑えるためには、スプレッドが狭いFX業者や口座タイプを選ぶことが重要です。

また、スプレッドには原則固定と変動があります。変動の場合は平均スプレッドを基準にしますが、時間によって変わってくることが一般的です。

 

ニューヨーク市場の終了時間や重要な経済指標の発表時にはスプレッドが広がることがあるため、これらの時間帯を避けることでコストを抑えることができます。

また、取引量の多い主要通貨ペアは一般的にスプレッドが狭いため、コスト意識の高いトレーダーにとっては魅力的な選択肢となります。

 

FX業者によっては、サーバーの設置場所や法人口座、個人口座によって異なるスプレッドを提供している場合があります。これらの違いを理解し、自分の取引スタイルに最適な条件を選ぶことが重要です。

手数料

スプレッドと別に手数料を設定しているFX業者が稀に存在します。取引手数料が設定されている場合、スプレッドに加算して取引コストを計算しましょう。

手数料体系は業者によって異なり、取引量に応じて段階的に変化する場合もあります。

 

また、口座維持手数料や月間の取引量ノルマ未達の手数料などがある場合もあります。

事前に自分の取引スタイルと予想取引量を考慮し、総合的な取引コストを計算することが重要です。取引手数料のない業者を選択することで煩雑な計算をする手間が省けますが、スプレッドが広い可能性もあるため、総合的に判断する必要があります。

スリッページ

スリッページとは、トレーダーが注文を出した価格と実際に約定された価格の差のことを指します。

ニューヨーク市場の終了時間やロンドン市場が冬時間の日本時間16時など流動性が低い時間帯、重要な経済指標の発表時などの市場のボラティリティが高い時に発生することが多くあります。

スリッページは取引コストを増大させ、収益を圧迫します。

 

個々の取引のスリッページは公開されないため、気が付かないことが多くありますが、発注時にTP(利益確定)/SL(損切り)を設定した場合、逆算することができます。

 

スリッページの影響を最小限に抑えるための対策として、以下の方法があります。

ボラティリティを意識する

ボラティリティの高い時間帯、流動性の低い時間帯を避けることでリスクを減少させることができます。

また、成行注文よりも指値注文を利用することで、希望する価格での約定を目指すことができます。

ただし、逆指値注文は実際には成行注文として処理されることに注意が必要です。

MT4の場合、指値注文も成行注文として処理されることがあるため、使用するプラットフォームの特性を理解しましょう。

FX業者の選定

約定スピードが速く、スリッページの少ないFX業者を選ぶことも重要です。

運用環境の選定

自動売買ソフトを利用する場合、FX業者のサーバーに近いVPSを利用することで、注文の遅延を最小限に抑える。

 

理論的には価格の動く方向にスリッページは発生するため、利確は得する方向(ポジティブ)に、損切りは損する方向(ネガティブ)にスリッページが発生しやすくなっています。

この特性を理解し、取引戦略に組み込むことも検討できます。

 

スワップポイント

スワップポイントとは、通貨ペアの金利差を調整するために、ポジションを翌日に持ち越す際に発生する利息です。

一般的に、金利の高い通貨を買って低い通貨を売る場合にはスワップポイントがプラスになりますが、逆の場合にはマイナスになります。

 

MT4業者ではこの金利差が非対称であることが多く、例えば、買いポジションで得られるスワップポイントよりも、売りポジションで支払うスワップポイントの方が高い場合が一般的です。

これは業者の収益源の一つとなっています。

 

スワップポイントの影響を考慮した取引戦略として、以下の方法があります。

 

  • スワップポイントがプラスになるポジションを選ぶことで、持ち越しコストを抑えることができます。
  • 長期的なポジションを持つ際には、特にスワップポイントに注意を払いましょう。
  • ポジションを翌日に持ち越さない短期取引を中心にすることで、持ち越しコストを減らすことができます。
  • 事前にFX業者のスワップ条件を確認し、条件の良いブローカーを選びましょう。
  • 受け取るスワップポイントが0もしくは切り捨てで実質0の場合や両方マイナス、受け取りより支払いが倍以上ある場合は選択しないことが推奨されます。

 

また、スワップポイントを積極的に利用するキャリートレード戦略も存在します。

これは金利差の大きい通貨ペアで長期ポジションを保有し、スワップ収入を得ることを目的とする戦略です。ただし、為替変動リスクも伴うため、慎重な判断が必要です。

取引コスト管理の重要性

FX取引における取引コストは、スプレッド、手数料、スリッページ、スワップといった多岐にわたる要素によって構成されています。

これらのコストを適切に管理し、最小限に抑えることで、取引の収益性を向上させることが可能です。

 

効果的な取引コスト管理のためには、自身の取引スタイル、取引頻度や取引量に応じてに適した最適な手数料体系のFX業者と口座タイプを選択しましょう。

 

また、市場の流動性とボラティリティを考慮し、取引タイミングを適切に選択することや、長期保有と短期取引のバランスを取り、スワップポイントの影響を最適化することも重要です。定期的に取引コストを分析し、必要に応じて戦略や業者を見直しましょう。

 

自動売買を利用するトレーダーにとっても、これらの手数料の影響を理解し、適切な対策を講じることが成功への鍵となります。取引コストは一見小さく見えても、長期的には大きな影響を及ぼす可能性があります。したがって、継続的なコスト管理と最適化は、FX取引の成功に不可欠な要素と言えるでしょう。

執筆者紹介

AMSER株式会社 代表取締役

林 貴晴

S&P500上場IQVIAやFTSE100上場のGSKなど、外資系製薬会社で活動後 投資系企業の株式会社ゴゴジャンで自動売買ソフトの開発能力とマーケティング手腕を評価され部長に抜擢、 その後複数社で役員を兼務
S&P500上場IQVIAやFTSE100上場のGSKなど、外資系製薬会社で活動後 投資系企業の株式会社ゴゴジャンで自動売買ソフトの開発能力とマーケティング手腕を評価され部長に抜擢、 その後複数社で役員を兼務

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