AMSER開発者林貴晴氏が教える|第3話:EUR/USDの動向と戦略
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EURUSDとは
EUR/USDは、ユーロ(EUR)とアメリカドル(USD)の通貨ペアであり、世界で最も取引量が多い通貨ペアの一つです。
ユーロは欧州連合(EU)の単一通貨として流通し、アメリカドルは世界で広く利用される基軸通貨です。
このため、EUR/USDは欧州とアメリカ、2大経済大国の経済動向を映し出す重要な為替レートとして機能します。
この通貨ペアは24時間取引が可能であり、非常に高い流動性を誇ります。
これにより、投機的な取引から実需の決済に至るまで、多様な用途で活用されています。
企業が為替リスクをヘッジするツールとして、また投資家やトレーダーが利益を目指して取引する対象として、EUR/USDは常に注目を集めています。
その価格変動は、欧州と米国の金融政策、経済指標、政治的リスク、投資家のリスク選好度など、多様な要因によって影響を受けます。
ユーロ(EUR)
ユーロ(EUR)は1999年に導入され、2002年からは紙幣と硬貨の形で流通を開始しました。
この通貨は、ヨーロッパ連合(EU)の20の加盟国によって使用されており、このユーロ圏内で、共通の通貨政策と金融政策が採用されています。
ユーロは、国境を越えた経済活動の促進や経済統合を深める重要な役割を担っています。
ユーロ圏にはオーストリア、ベルギー、キプロス、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポルトガル、スロバキア、スロベニア、スペイン、クロアチアが含まれます。
ユーロに影響を与える経済指標は多岐にわたりますが、特に重要なものには以下の経済指標があります。
- GDP(国内総生産)
- インフレ率CPI(消費者物価指数)
- 失業率
- 製造業およびサービス業のPMI(購買担当者景気指数)
- ZEW経済感情指数
これらの指標は、ユーロ圏の経済状況の健全性を示すバロメーターとして機能し、経済の拡大や収縮の動向がこれらを通じて明らかになります。
アメリカドル
アメリカドル(USD)は、国際貿易や金融市場で広く使用される世界の主要通貨であり、基軸通貨としての役割を担っています。
その地位は、アメリカが世界最大の経済大国であることに由来しています。
アメリカドルの発行と金融政策は、連邦準備制度理事会(FRB)によって管理されており、FRBは物価安定と雇用の最大化を目標に金融政策を運営しています。
FRBによる利上げや利下げ、量的緩和などの金融政策の決定は、米ドル相場に大きな影響を与えます。
アメリカの経済指標も、米ドル相場に影響を及ぼす重要な要素です。
特に、雇用統計、消費者物価指数(CPI)、個人消費支出(PCE)といったインフレ関連指標が注目されがちです。
また、GDP成長率、ISM製造業景況指数、小売売上高などの指標は、景気の動向を示す重要な指標として機能します。
さらに、アメリカの地政学的リスク対応能力や経済の安定性、そして高い流動性から、リスクオフの局面では安全資産としての需要が高まることもあります。
EUR/USDの特性
流動性とスプレッドの魅力
EUR/USDは世界で最も取引量の多い通貨ペアであり、その高い流動性のおかげで取引コストを示すスプレッドが非常に低く抑えられています。
この低いスプレッドは、スキャルピングや短期トレードなどの自動売買に特に適しています。
取引時間とボラティリティ
ヨーロッパ市場とアメリカ市場の取引時間(日本時間で16時から24時頃)にはEUR/USDの取引が特に活発になり、ボラティリティが高まる傾向があります。
一方、アジア市場の取引時間帯は取引量が減少し、市場は比較的静かな動きを見せます。
情報量
ユーロ圏と米国からは、経済指標や政策当局の発言など、レートに影響を及ぼす情報が多数リリースされます。
これにより、価格が大きく動くチャンスが多く存在し、取引の不透明さが少ないのがEUR/USDの大きな魅力です。
EUR/USDの自動売買戦略
EUR/USDは特徴的な動きをする時間があります。
この通貨ペアの特性を生かし、自動売買で効果的に利益を上げるための戦略や手法を紹介します。
アジア時間のレンジ戦略
アジア市場の時間帯は欧州市場、アメリカ市場が閉まっているため、EUR/USDのボラティリティが低くなり、レンジ相場が形成されやすくなります。
この時間帯は価格が一定の範囲内で推移するため、サポートとレジスタンスのラインを設定し、範囲内での逆張りエントリーを行う戦略が有効です。
このアプローチは高勝率で小さく利益を積み上げていく傾向がある為、自動売買との相性は抜群です。
欧州市場開始時のトレンドフォロー戦略
欧州市場が開始すると、ボラティリティが増加し、アジア時間のレンジを突破する大きなトレンドが発生することがあります。
この戦略では、アジア時間帯の高値や安値、ボリンジャーバンド、エンベロープなどを基準として、トレンドをフォローする方向にエントリーを行います。
この戦略は低勝率ですが、大きな期待利得を得ることができます。
金利差に基づくキャリートレード戦略
FRB(米国の連邦準備制度)とECB(欧州中央銀行)の政策金利に差がある場合、キャリートレード戦略が有効です。
過去10年間はユーロの金利が低く、米ドルの金利が高かったため、米ドルを買いユーロを売ることでスワップポイントを獲得できます。
また、スワップポイント取得時間に合わせてポジションをコントロールすることで、戦略を有利に進めることができます。
EUR/USDはその特性から自動売買に非常に適しています。
高い流動性と明確な市場の時間帯ごとの特性を理解することで、効率的な取引戦略を設計することが可能です。
自動売買では、これらの情報を基に設定したアルゴリズムが、人の感情に左右されることなく一貫して取引を行うため、戦略の実行において大きなアドバンテージを享受できます。
執筆者紹介
AMSER株式会社 代表取締役
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